55.授かる命と捨てる命/弐 |
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【捨てる命】 随分と安い命なんだな、お前のそれは。 恋人に振られたぐらいで、見つけた選択肢は死だけかよ。 情けねぇなぁ。なんとも…。 何年も付き合ってきただとか、越える相手はいないだとか…。 そんな現実も想いも、それで自分を縛りつけてんのは手前だろ? こんな気持ち、わかってくれない…だと? お前と同じ辛さを味わおうったって、 たとえお前の身代わりになってやろうって思ったって無理なんだからよ。 それぐれぇわかるだろ?話を聞いて欲しいならいくらでも聞いてやる。 当該者は俺じゃねぇんだもん、お前なんだもん。 そりゃ申し訳ないけど、お前の辛さは想像でしかないよ、俺も。 辛いのも、悲しいのも、苦しいのも、わかるよ。 どん底のどん底にいるような気持ちなのも、 今居る場所から光なんて見えてこない気がするのもわかってるよ。 けど、その瞬間も明日も明後日も過去になるのを俺はわかってるよ。 お前に説教する気も、バカにする気もねぇよ。 ただ、お前の周りがみんな同じようにお前に差し出す慰めなんか 俺はお前にやる気はねぇだけだ。 一緒になって泣いてくれて、一緒になって苦しんでくれて…。 そうやってくれる周りがいんだから、生きてる価値ぐれぇ自分で見い出せ。 言っとくけど俺はお前の苦しみも辛さも悲しみも 一緒に泣くつもりはねぇょ。でもその分、笑わせてやる。 あんま知らないからな。俺はお前のこと。 長さじゃねぇよ、縁なんて。距離でもねぇよ。 濃さだと俺は思ってる。俺とお前はまだ薄い。それは事実。 死にたいとか、死ぬとか…。 死ねば?って言いたくても、少なくてもお前が死んだら 俺はとてもじゃないが、いい気分になんかなれん。 落ち着けてくれるかもしれない希望や期待があるなら精神科行くのもいい。 そんなとこ行く人間の気持ちがわからなかったのに…って 仕方ねぇよ。弱ってんだもん、今のお前は。 いいじゃん、情けなくたって。死ぬよりよっぽど立派だよ。 自分の辛さはこの上ないって思うもんなんだ。人間は。 弱いし、自己中だし、潜在意識の中の自己愛ってのは究極だからな。 比べろよ。都合よく。自己完結なら周りに迷惑はかけねぇんだからさ。 お前の知らない楽しい世界なんて腐るほどあるはずだ。 少なくても俺から見てるだけでもあるぐらいだ。 俺だって俺の知らない楽しい世界が腐るほどあるってこともわかってる。 生きる意味だとか…支えられる意味だとか…支える意味だとか…。 言葉は便利だからね。言葉は気持ちが入ってなきゃ、ただの道具でしかない。 だから、そんな意味を言葉にすることに精神を使わなくていいよ。 楽にいろ。今は…。もっとでっかく構えてろよ。 何十年かの人生が長いと思うか短いと思うか、お前の考えは知らねぇけど、 何十年かありゃ、そりゃ死にたくなる時ぐれぇあるだろ。 そうやって死んでった奴だっているさ。 その死と向かいあった奴だっているさ。 生きてるのにもう会えない奴だっているさ。 自分の子供と二度と会えない奴だっているさ。 這い上がれ。 捨てるような命じゃねぇ。お前のは。 |